2006年08月27日

マス・ダンパーについて

ブログ解析をすると、今でもマス・ダンパーについてのアクセスが多いようなので、過去のエントリを手直しする形でまとめ直してみました。
 
 
 先ず、オフィシャルページに最初に図解イラストが出たのが6月11日。この時は「バーチカル・ダンパー」と呼ばれ、錘が二つ(バネは3個?)の複雑な構成のイメージで表現されていた。で、コーナーでの繊細さを抑える効果があると。
 で、フランスGP直後の7月17日にFIAから使用の禁止が通達され、ドイツGP初日の金曜日朝、ルノーからの要請に対してドイツGPの審査委員会が一転、マス・ダンパーの使用を合法とする裁定を発表。
 その次にオフィシャルページで紹介されたのが7月28日。「Renault R26 - mass damper system」と、今の呼び名に変わっている。
 その後の8月22日の控訴審での違法判決は記憶に新しい。
 以上の流れを見ると、FIAも構造については完璧な把握ではなかったのかも知れない。が、意味合い・動作についてはFIAが最初に許可したと思われる2年前から変わらない。

 マス・ダンパーの働きについて、過去のエントリでは説明が不十分だったかも知れないのでアニメーションgifを作ってみました。っていうか、こんな理解で正しいと良いのだけれど…間違っていたらどなたか教えて下さいませ。
 画像はノーズとマス・ダンパーの動きを抽象化し、側面から見た物です。絵が下手なのは我慢して下さい。
マス・ダンパー動きイメージ.gif
 縁石に乗り上げるなどして車体(ノーズ)が持ち上がる瞬間、マス・ダンパーの錘はバネによって空中に浮いているので、最初はバネが縮むだけで錘の高さは変化しない。錘の動きはノーズの動きより遅く小さい。この時、車体側から見ると、バネを通して錘が車体を下に押しつけているのと同じ。
 そして、ノーズが本来の位置に戻ろうとする(凹みでノーズが下がるときも同じ)時、錘はまだ本来の位置より高く、少し遅れて本来の位置に戻る。この瞬間を車体から見ると、上のバネが縮んで錘が車体を引き上げるような動きになる。つまり、着地の瞬間の衝撃を和らげている。
 まとめて言えば、ノーズ内のマス・ダンパーはノーズの上下動を打ち消すことでタイヤの路面への接地圧を一定に保つ効果(つまり、アンダーステアの解消)がある。また、結果としてフロントウイング等の空力パーツを地面に対して一定の状態に保つ効果がある。
 この事で思うのは、フィジケラとアロンソの速さの差だ。
--フィジケラはチームに恵まれないことが多かったけれど、速さとテクニックは他のドライバーから一目置かれている存在(ドライバーの投票で賞を貰ったことがあったはず)。特に、ウイングを薄くして走るコースではパワーの無いマシンでもポイントを取る事が多かった。--そんなフィジケラがアロンソに大きな後れを取っていたのはマス・ダンパーに由る不自然なグリップの回復・維持にどうしても馴染めなかったからではないか?一方、アロンソはF1での経験が少ない分だけ、不自然な動きにも対応しやすく、更に加えて持ち前のアグレッシブなドライビングがマス・ダンパーの特性とマッチした…今回のトルコGP予選での二人の差が、本来の差なのではないか?
 トルコGPのコースは滑らかな路面なので、元々マス・ダンパーの効果は少ないかも知れない。縁石を積極的に使ったり、バンプの多いコースではよりはっきりとするだろう。

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posted by ビートニク at 11:05| Comment(20) | TrackBack(2) | F1など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フィジケラにマスダンパーが合わなかったと言うより、アロンソにマスダンパーがハマッタだけとも考えられます。フィジケラもある程度はマスダンパーの恩恵を受けていたはずですから、ドライビングスタイルを含めたときに、その恩恵の程度に差が生まれたのだと思います。
Posted by Sima at 2006年08月27日 15:45
нёllо(・∀・нёllо(・∀・нёllо

(ノ*´∀`)ノ☆ヲォォォォゥ゚+・。*♪
流石ビートニクさん!理解できましたぁ!

アニメーションまで付けてくれて( *´艸`)
すっきりしました!
ァリガ(´ε`*)チュー
Posted by mikle at 2006年08月27日 15:52
ウィリアムズのアクティブ・サスがマンセルに合って、パトレーゼに合わなかったのと一緒か?(笑)
今後冷静なアロンソも焦ってくる可能性ありですね。
去年と違ってフェラーリのマシンが良くなってますからね。

Posted by com at 2006年08月27日 16:09
Simaさん、どうもです
アロンソはマス・ダンパーにぴったりだったんでしょうね。
Posted by ビートニク at 2006年08月27日 16:26
mikleさん、こんにちは
大体こんな感じだと思います。
間違っていたらごめんなさいm(__)m
Posted by ビートニク at 2006年08月27日 16:28
comさん、こんにちは
 マンセルとパトレーゼは…違いが多そうです(^_^;
 マス・ダンパー無しで不利と言っても、他と同じになるだけですから。でも、フェラーリの好調さを考えるとプレッシャーですね。
Posted by ビートニク at 2006年08月27日 16:50
ジャックとかモントーヤがよく言っていたけれどTC、パワステ、セミオートマ、その他の
デバイスと「誰でも簡単に操縦できる今のF1」。
それに慣れられるかどうかで、新人がいきなり速いのもこの辺が関係あるんでしょうね。
ベテランや自分のセンサーが多い人ほどそれと合わなくて難しいというか自分で補正を
かけたはずがマシン側の補正のおかげでかえって不安定になってるみたいな感じ?

Posted by BOB at 2006年08月28日 00:31
ご無沙汰してしまいました。
アニメーションGIF、お見事です!

実際、メカニカルグリップ向上と、エアロの安定と、どっちの効果が高かったんでしょうかねぇ。
エアロはエアロで取り戻すとして、メカニカルグリップの回復は相当大変なのではないかと。
Posted by mar at 2006年08月28日 12:08
マスダンパーがエアロパーツなら、サスペンションだってエアロパーツじゃあないの? 車体自体が錘で、サスは文字通りバネなんだし。かつてのアクティブサスなんて、もってのほか!ってかんじで。こんな選手権操作は、これまでほとんどが「コードE」だったけど、今度は「コードM」? バーニーは、今回の決定には関係ないような態度ですが???ですね。 ところで、トヨタのバセロンが、再禁止の時期には疑問を投げかけながらも、「マスダンパーはエアロダイナミックスへの動的な装置」との考えを述べ、GPMAからも脱退し、どんどんFIA寄りになっているのも気になりますね。
Posted by 悟ファンの私 at 2006年08月28日 14:02
F1のエアロとサスを明確に線引きすることは難しいですね。相互補完関係にありますから。

マスダンパーを使えばピッチングが穏やかになりますから、メカニカルグリップを維持したままサスペンションを固められる。その結果、ライドハイトが安定してエアロダイナミクスが向上する。という考えでしょう。マスダンパーはメカニカルグリップの維持とエアロダイナミクスの向上をもたらしたので動的な装置として・・・。

フェラーリが抜けた時点(それ以前からかも)でGPMAは有名無実化してますから、今更ルノーが抜けようがトヨタが抜けようが・・・。
Posted by Sima at 2006年08月28日 14:31
なるほど…。タイヤの接地面の観点から考えると、空力パーツと同等の存在と言われるわけですね。ルノーの独創性は誉めても良いと思うのですが、やはりドライバーによっては絶大な効果をもたらす装置は、禁止にするべきなんでしょうね…。
Posted by 考える葦 at 2006年08月28日 18:35
BOBさん、こんばんは
デバイスで楽になった分だけ、より高い限界での走りが要求されると思いますから、デバイスの使いこなし次第なんでしょうね。新しいデバイスが出来る前に完成したドライバーの苦労は多いのでしょうね。
Posted by ビートニク at 2006年08月28日 21:29
marさん、こんばんは
メカニカルグリップと空力のグリップ、突き詰めると両方が重なる部分があると思いますが、メカニカルグリップは基本的にサスペンションのストロークを増やす方向でのチューニングでしょうね。
Posted by ビートニク at 2006年08月28日 21:33
悟ファンの私さん、こんばんは
>サスペンションだってエアロパーツ
そうですね。
 今回の一番の問題は、FIAの判断のブレですね。許可していた物をいきなり禁止では納得できませんね。
Posted by ビートニク at 2006年08月28日 21:36
Simaさん、こんばんは
>エアロとサスを明確に線引きすることは難しい
ですね!そう思います。FIAの態度に問題がありますね。
 GPMAはそもそもフェラーリが中心の役割を果たしていましたよね。その頃はHONDA・トヨタは蚊帳の外で…今や後始末が大変でしょうね(^_^;
Posted by ビートニク at 2006年08月28日 21:40
考える葦さん、こんばんは
 禁止するなら、端っから禁止とするべきであったと思うんです。
 窮屈すぎて独創的な発想が認められないのは、面白くないです…
Posted by ビートニク at 2006年08月28日 21:44
 アニメーションgifとってもわかりやすいですね!
古い市販車でも同じ仕組みを取り入れたものがあったそうですが、面白いアイディアですよね。

 導入していたいくつかのチームもなかなかモノにできなかったようですから、アクティブサスのように上手く動作させられると絶大な効果が出る技術なのかもしれません。
Posted by qnot at 2006年08月29日 00:41
ビートニクさん、こんばんは☆
TBとコメント、ありがとうございました。

>フロントウイング等の空力パーツを地面に対して一定の状態に保つ効果
こういう意味で、レギュレーションの「空力的に影響を与える部分」という事になり、「堅固な固定」になっていないという事になるんでしょうね?
しかし、それって判断が難しいところだと思いますが・・・。
サスペンションとかも少なからず同様の効果がある様に思えますが。
FIAの恣意的な運用という事がない様に、レギュレーションももっと詳細に決定しておく必要がある気がします!
Posted by poorbassist at 2006年08月29日 01:15
qnotさん、おはようございます
市販車に採用例があったんですか!
市販車では、路面状況が様々+車重が重いのでどれだけ効果があったんでしょうね。
Posted by ビートニク at 2006年08月29日 05:38
poorbassistさん、おはようございます
サスペンションの役割も、突き詰めると同じですから…結局は価値観の違いとなるかも知れませんね。
 ルールなのだから、OKならOK、禁止なら禁止で行くべき。フォーミュラマシンはフォーミュラに則って作るだけですから。
Posted by ビートニク at 2006年08月29日 05:43
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